遺愛ニュース
IAI News
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第73回 『全校修養会』を開催しました。
第73回 全校修養会
母と子のいのちをまもるため、そして仕えるために
日時:2025年10月28日(火)・29日(水)
講師:慈恵病院 新生児相談室
室長 蓮田 真琴 先生
相談員 萩原 きよみ 先生
いのちの尊さを見つめて
熊本市の慈恵病院で行われている「こうのとりのゆりかご」(赤ちゃんポスト)や「内密出産」の取り組みについて、講師のお二人からお話をいただきました。
「私は絶対そんなことしないから大丈夫」ではなく、身近な人や自分の家族が直面するかもしれない現実として、命と向き合うことの大切さを語られました。
ある母親の言葉が印象的でした。
「私をお母さんにしてくれてありがとう。
一人ぼっちじゃなくなった。
生まれてきたことで、今までのことに意味があったと思った。」
「こうのとりのゆりかご」設立の思い
慈恵病院では、育てたくても育てられない事情を抱える母親たちと誠実に向き合い、誰もが孤立しないよう支援を続けています。
「内密出産」は、一人で出産を強いられる状況を作らないための仕組み。
「責めるのではなく、寄り添うことが大切」と先生方は語ります。
また、特別養子縁組の制度を通して新しい家族と出会い、子どもたちが安心して育つ環境を整える活動も続けられています。
生みたくても生めない人がいる現実にも触れ、社会全体で支え合うことの必要性を訴えられました。
「こども食堂」への広がり
慈恵病院では、地域とのつながりの中で「こども食堂」も開設しています。
毎週木曜日、約400名以上のボランティアが関わり、80〜100名の子どもたちが訪れます。
「家で満足に食べられない」「寂しい思いをしている」子どもたちに温かい食事と居場所を提供しています。
きっかけは、ある子どもの一言でした。
「ティッシュにはいろんな味があるんだよ。」
この言葉に心を動かされ、食堂の設立に至ったといいます。
今では、18歳以上の若者もボランティアとして手伝い、共に食卓を囲む時間を大切にしているそうです。
いのちと社会をつなぐ学び
2日間を通して、生徒たちは「いのちをまもる」「孤独を生まない」「寄り添う社会をつくる」というテーマを深く考える機会となりました。
講師の先生方の誠実な言葉と、現場での実践の数々が、参加した生徒一人ひとりの心に深く刻まれました。






全校修養会講師 蓮田真琴さんから、後日、メッセージを言付かりました。
遺愛生のみなさん、先生方にお会いできて、私と荻原にとって、とても幸せで大切な時間になりました。
最後に伝えたらよかったなぁと思っていることが3つあります。
① 産婦人科の病院にいると、望んだ妊娠で健診を受けていても、お腹の中で亡くなる赤ちゃんや、生まれてくるときに亡くなる赤ちゃんもいます。
今、ここに存在していることは奇跡だと思いますし、意味があって生まれてきていると思います。自分の命も友だちの命も大切にしてほしいです。
② 今つらい思いをしている人もいると思いますし、これから先、つらい思いをすることが必ずあると思いますが、絶対にあとで「このことがあって良かった」と思える日が来ます。
つらい時はわからないと思いますが、神さまは人間の考えの範囲を超えたことをしてください ます。
なにがあっても希望を捨てずに、今できる目の前のことをひとつずつしてほしいです。
③ 人生の中で大きな選択をしなければならないことがあると思います。
真剣に考えれば考えるほど、どちらを選ぶのが正解なのかわからなくなると思います。
悩んで悩んで決めたことは絶対に間違っていませんので、決めたことでうまくいかなくても後悔だけはしないでほしいです。必ず意味がありますし、そのことで自分がさらに成長すると 思います。
この3つは、子どもを他の方に託すことに決めたお母さんたちに必ずしている話です。
機会があれば生徒さんに伝えていただけると嬉しいです。
2025年10月29日
蓮田真琴